夢みたもの

「悠里が話していないのは・・・話したくないからじゃなくて、彼自身がまだ話せる状態じゃないからなんだ」


庇うようにそう言うと、崇さんはピアノに向かうユーリに視線を送った。



「最初の不幸は、4年前の冬だった」

「4年前?」

「雪が降ったその日。大切な仕事を抱えていた悠里の両親は、2人して車で出かけて・・・事故に遭った」

「・・・えっ!?」

「タイヤがスリップして、前から来たトラックに衝突・・・即死だったよ」


「・・・そんな・・・」


そう呟いたあたしは、それ以上言葉が繋がらなくて、そのまま黙って俯いた。



信じられない。



優しかった おじさんとおばさん。

施設から逃げ出したあたしを、唯一受け入れて助けてくれた。

本当の家族のように接してくれた、初めての人達。


その2人が亡くなったなんて・・・・



「当時、悠里は15歳になったばかりだったけど、身内の贔屓目から見ても、凄くしっかりしてた」


「痛々しいぐらいにね」そう付け加えると、崇さんは口元を歪めて小さく笑った。