夢みたもの

近付いてくる足音にユーリが顔を上げる。

あたしもそれにつられて振り向くと、30代半ばぐらいの男の人が近付いてくる処だった。


「おや?邪魔しちゃったかな?」


細面に癖の無い黒髪。通った鼻に黒いフレームの眼鏡をかけたその人は、ぱっと見、高級ブランド店の店員のようにお洒落で、とても穏やかで優しい雰囲気を醸し出している。


「美野里さんに、悠里が女の子を連れて来てるって聞いて・・・・思わず来てしまった」


穏やかに笑いながらそう言うと、男の人はあたしに笑いかけた。


「どうも、はじめまして」

「あ、はじめまして」


あたしがそう言って頭を下げると、男の人は眼鏡の奥で僅かに目尻を下げて笑った。



『崇さん。僕の叔父だよ』



「叔父さん?」


ユーリが差し出したノートを見たあたしがそう呟くと、目の前の男の人はニッコリ笑った。


「叶 崇(カノウ タカシ)です。よろしく」

「雪村です。よろしくお願いします」

「雪村?」


あたしが挨拶をすると、崇さんは驚いたように目を見開いて、あたしをまじまじと見つめた。