夢みたもの

『一緒に過ごした期間、それは僕の役目だった』



「ユーリ・・・」



『僕では、彼の替わりになれない?』



「・・・・」



『僕は、あの頃からずっと・・・ひなこの事が好きだよ』



迷いの無いユーリの真っ直ぐな視線は、その言葉が冗談でない事をあたしに告げている。

その茶色の瞳に吸い込まれそうになりながら、あたしは息を飲んでユーリを見つめ返した。



「・・・ごめんなさい・・あたし分からないの」


さっきと同じ言葉を繰り返すしかなかった。



ユーリは大切な存在で、もちろん嫌いじゃない。

でも。

ユーリの言う『好き』と、あたしの言う『好き』は違う。

それだけは、あたしにも分かる。



お互い黙ったまま見つめ合っていたけれど、やがて、ユーリの茶色の瞳に暗い影が落ちて、ユーリはあたしから視線を逸らした。

表情の変化は殆どないけれど、目や口元の僅かな動きは、ユーリの気持ちを痛い程伝えてくる。

そんな表情を見るのは、耐え難いものだった。


「ユーリ、あのね・・・」


ユーリなら分かってくれる。

そう思って理由を説明しようと口を開きかけた、その時。

あたしの背後・・・店奥のドアが開いて、誰かがこっちに向かってくる足音が聞こえてきた。