夢みたもの

胸が痛いぐらい鼓動が速くて、ノートを持つ手は緊張で冷たくなってくるのに、頬は熱く火照っているのが分かる。



どうしよう?

どうしたら良いんだろう!?



こんな時。

こんな時、航平が居てくれたら・・・・



ふとそう思ったあたしは、ハッとして顔を上げた。



あたしは、何て事を考えているんだろう!?


何でも航平に頼ろうとする悪い癖・・・

こんな時にまで航平に頼ろうとするなんて・・・あたしは最低だ。



目の前には、不安そうな目をしたユーリがあたしをじっと見つめている。


「あ・・あの・・・」


あたしは喉の渇きを感じながら、ユーリに向き直った。


「あの・・あたし、・・・よく分からないの」


正直な気持ちだった。



嘘はつきたくない。

嘘をつくつもりもない。



『分からない』というのが、あたしの答え。



あたしには、恋愛感情がどういうものなのか分からない。



『誰かを特別好きになって、一緒に居るだけで幸せに思える事』

以前、鞠子がそう教えてくれたけれど、あたしには『特別好き』が分からない。



ユーリは、そんなあたしの言葉に首をかしげた。