あたしと航平が通う高校には、付属の大学が存在する。

知名度もランクもそこそこの大学で、生徒の大半が持ち上がりで進学するので、あたしは進路について深く考えた事が無い。

高校入学が決まった時、両親からそのまま大学へ進むように言われていたから、その言葉に甘えて、何も考えずに高校生活を送ってきた。


当然の事のように、航平も一緒だと思っていた。


だから今まで、その話題を出した事もなかったけれど・・・、航平が外部を受験するなんて思ってもみなかった。



「そっか・・・航平の成績なら、もっと上の大学を狙えるもんね」


確認するように言いながら、あたしは徐々に視線を落とした。



『幼なじみだからって、これから先もずっと一緒って訳にはいかないんだから』


宮藤君に言われた言葉を思い出す。


確かにその通りだ。


頭では分かっていたけれど、にわかに現実味を帯び始めて、あたしは何とも言えない気持ちになった。



将来をしっかり見据えている航平。

何も考えていない自分。


置いていかれるという、漠然とした焦り。



でも、一番強く思ったのは・・・



「寂しい?」

「・・・え?」


その声にハッとして顔を上げると、航平が頬杖をついたまま微笑んでいた。