「ひなこからそんな事言われるなんて、思ってもみなかったな」


そう言いながら、いつもより嬉しそうに笑う航平。

あたしはその笑顔を見つめながら、後ろめたい気持ちが倍増したのを感じていた。


「でも、まだ1ヶ月ちょっと先の話だけど・・・」


楽しそうな航平とは正反対に、少し戸惑いながらあたしがそう言うと、航平は右手で頬杖をついてニコニコ笑った。


「いいのいいの。早めに予定を押さえておかないと、一之瀬さん達にひなこを取られちゃうからね?」

「取られるって・・・」


確かにここ数年、クリスマスの日は決まって、葵達と一緒にクリスマスパーティーをしていた。


「だから今年こそは、ひなこと一緒に過ごしたいって思ってたんだ。来年は受験を控えて、クリスマスどころじゃないかもしれないからね」

「え?」


あたしは航平の言葉に、何度かまばたきをした。


「航平・・・外部受験するの?」

「まだ確定じゃないけど、考えてはいるよ?」

「そう・・・なんだ」


今まで考えた事もなかった事実。

あたしは驚いて、航平をまじまじと見つめた。