「そういえばさ・・・」

「ん?」


メールを誤魔化せた事に安心しつつ、何となく後ろめたくなったあたしは、努めて明るく振る舞いながら、航平に話しかけた。


「さっきの・・・埋め合わせの話だけど・・・」

「あぁ・・・別にいいよ」


「言ってみただけだから」航平はノートを写しながら、そう付け加えた。


「それに、毎年クリスマスの夜は、家族でひなこの家にお呼ばれしてるしね」

「・・・うん、でも・・・」



航平に秘密を持った事がとても重く感じる。


あたしは何度か躊躇った後、思い切って口に出した。


「折角だし・・・遊びに行こうか?」


「え!?」


航平は顔を上げると、驚いた表情であたしを見た。


「ひなこ?今・・・何て言った?」


まじまじと見つめてくる航平の視線を避けながら、あたしは慌てて付け加えた。


「約束は約束だし・・・でも、言っとくけどデートじゃないよ!?・・・その・・幼なじみとして・・・」

「・・・分かってるけど」


航平は呟くようにそう言うと、信じられないというような表情であたしを見つめた。


「どうかしたの?ひなこからそんな事言うなんて珍しいね?」

「そうかな?まぁ・・たまにはね」


愛想笑いをしながらそう言うと、航平もつられたように小さく笑った。