夢みたもの

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「・・・今、何て言った!?」


口に運んだカフェオレに思わずむせ返る。

あたしは目に溜まった涙を拭いながら、目の前でニコニコ笑う航平を見た。


「だから・・・埋め合わせの話」


今日は古文から手を付けていた航平は、ノートを写す手を止めると、首をかしげてあたしを見る。


「昼間、約束したじゃん?今日の埋め合わせはする・・・って」

「確かに言ったけど・・・」


「じゃぁ・・・」航平はあたしから視線を外して右手でシャーペンをクルリと回し、それを眺めながら言った。


「埋め合わせは、ひなことのクリスマスの1日デートが良いなぁ?」


その言葉に、あたしは再びむせ返りながら慌てて言った。


「だから・・・デートって何なの!?」

「あれ?デートって言葉が気に入らない?」


「だって・・・」

「だって・・・?」


「デート・・・って、おかしいでしょ?」


口籠もりながら小さく言うと、航平はチラリとあたしを見て、またシャーペンをクルリと回した。


「おかしいかなぁ?」

「あたしと航平はただの幼なじみでしょ!?そういうのはデートって言わないもん」


「・・・ふぅん?」


航平はそう呟くと、ため息を吐いて顔を上げた。