夢みたもの

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校舎を出ると、外は大分暗くなっていた。


家までの道を急ぎながら、あたしは1人で帰る事が久しぶりな事に気付く。

茶道部に顔を出した日も、何だかんだ言って、航平はあたしを待っていてくれる。

一緒に登下校する事が、本当に当たり前になっていた。



「甘え過ぎなのかなぁ・・・やっぱり」


宮藤君の言葉を思い出し、ため息混じりにそう呟いて家のドアを開けた瞬間。


「ひなこ!?」


玄関に立っていた母が驚いたようにそう言った。

出かける処なのか、手に携帯を持って、少し慌てた様子だ。


「ただいま。今から買い物?」


母の脇をすり抜けながらそう言って家に上がると、後ろからため息が聞こえてきた。


「今迎えに行こうとしてたのよ?」

「え?」

「帰りが遅くなるなら連絡しなさい」


あたしの後に続いて家に上がりながら母はそう言った。


「航平君に聞いたら、今日は一緒に帰って来なかったって言うし。心配するじゃないの」

「あ・・・・ごめんなさい」

「まぁ、無事に帰ってきたから良いけど。でも珍しいわね?」

「ちょっと・・・懐かしい知り合いに会って」

「ふぅん?でも、連絡はしっかりね」


「着替えてらっしゃい」母はそう言うと、あたしの肩をポンと叩いてリビングに入って行った。