夢みたもの

「ま、男嫌いが治ったらいつでも遠慮無く、俺に声掛けてよ?」

「え?」

「雪村さんの為なら、いつでも体空けるからさ?」

「・・・・・」


鞠子の情報によれば、確か宮藤君は今、隣のクラスの女子と付き合っている筈だった。

鞠子が噂を拾ってきたのは1ヶ月ぐらい前・・・・・

その前の1年生との噂が流れたのが3ヶ月ぐらい前だから、宮藤君は2,3ヶ月に1回のペースで付き合う女子が変わっているという事だ。


器用というか、移り気というか・・・・あたしにはとても真似出来ない。

そこまでいくと尊敬すらしてしまう。



「雪村さんと付き合ったら、飽きないだろうなぁ」

「また、冗談?」


眉根を寄せてそう言うと、宮藤君はクックッ・・と小刻みに肩を震わせながらあたしを見た。


「雪村さんが俺を選んでくれるなら、喜んでお付き合いするよ?」

「選ぶって・・・」


あたしはため息を吐いて宮藤君を見つめた。

呆れ過ぎて、逆に笑いが込み上げてくる。


「あたし相手に冗談ばっかり言ってないで、ちゃんと誰か1人と付き合えば良いのに」


苦笑いしてそう言うと、宮藤君は小さく笑った。


「そうだね」