夢みたもの

「理解出来ない・・・って顔してる」

「・・・え?」


宮藤君は、笑いを堪えた表情で肩だけを小刻みに震わせる。


「雪村さんって、普段はそうでもないみたいだけど・・・恋愛に関しては超が付く鈍感だって聞いてるよ?」

「そんな事は・・・」

「それじゃ、編入生には気を付けた方が良い」


さっきまでとは違って、宮藤君は真面目な表情でそう言った。


「どうして?」


後ろめたさを感じながら、あたしは小さくそう言った。



別にやましい事をしている訳じゃない。

昔の知り合いに再会しただけなのに・・・



そう思いながら宮藤君を見上げると、彼は小さく笑った。


「堤の特別な存在ってだけで注目されてるのに、例の編入生とさらに噂が立ったりしたら、周りの目が怖いと思うよ?」

「・・・・・?」


首をかしげたあたしに、宮藤君はさらに肩をすくめて笑う。


「俺が思うに、集団生活の中で、女子の嫉妬ほど怖いものはないと思うんだけど?」

「嫉妬?」

「それに、堤ってガードが無くなると、今まで大人しくしてた男子から言い寄られるかも・・・それでさらに、女子の嫉妬心が煽られる」

「あたしが?」


何を言っているんだろう?

信じられない事ばかり言う宮藤君を、あたしは唖然として見つめた。