夢みたもの

「うん・・・平気」

「ひなこ?」


あたしは航平に笑いかけると、まだ騒がしい教室の中を歩いて自分の席に着いた。



怖くなかった。


頭に手を伸ばされた時。

一瞬息が止まるかと思ったけど・・・・怖くなかった。


不思議。

どうして?

こんな事は初めてだった。


あたしは机に頬杖をつくと、一息吐いて周りを見回す。

父と航平以外で、触れられても平気な男子に出会った事がない。

だから、不思議だった。

どうして彼に触れられても平気だったんだろう?



「ビックリし過ぎたのかな・・・?」


そう呟いた時、ジャケットに入れた携帯が震えた。

メールの着信・・・・送信者は鞠子だった。


顔を上げると、鞠子がこっちを見て手を振っている。

たぶん、さっきの事について、話したい事が山ほどあるんだろう。

今日は一日、この事で鞠子に捕まるんだろうな・・・

少しゲンナリしながら、あたしは携帯を開いた。


「・・・え?」



何これ?


2つ折携帯の間にメモが挿んであって、携帯を開くと同時にハラリと床に落ちていく。


どういう事?


メモに目を通したあたしは、そのままメモをポケットにしまった。