この子は、誰だろう?
「沙奈ちゃん、可愛いから変な男の子に絡まれやすいから気をつけてね。」
「ありがとう。」
「私は、早見奈子っていうの。
なこでも、なこちゃんでも気軽に呼んでいいからね。
ちなみに、さっき沙奈ちゃんにしつこく話しかけてたあいつは、河村颯馬っていう奴。
女の子が大好きだから、あいつには気をつけた方がいいよ。」
「そう…なんだ。
よろしくね、奈子ちゃん。」
「うん!私、沙奈ちゃんと話してみたかったの。
話すきっかけをずっと探してたんだけど、全然見つからなくて。
だけど、今沙奈ちゃんと話せてよかった。同じクラスだから仲良くしてね。」
人懐っこい性格な奈子。
だけど、どこかその笑顔の裏には何かあるような気がした。
それから、私は無事に3教科の授業を終えて紫苑へ連絡を入れた。
「沙奈ちゃん、この後何か用事ある?」
「特に、何も無いけど…」
「そしたらさ、一緒にお出かけしない?」
「えっ?」
「私ね、行ってみたい喫茶店があるの。
ここなんだけど…
パンケーキがふわふわですっごく美味しいんだって!」
そう楽しそうに、ネットで検索して出てきたふわふわのパンケーキの写真を私に見せてきた。
「何、これ。
それより、パンケーキって何?
パンなの?ケーキなの?」
「えっ?まさか、沙奈ちゃん。パンケーキ知らないの?」
奈子は、目を丸くして私の顔を見ていた。
「知らないから、聞いてるんだけど…」
「えー!
そっか、そしたら私が食べさせてあげる!
すごく美味しいんだから。
最寄り駅から3駅くらいの所にあるみたいだよ。」
私は肝心なことを忘れていた。
そういえば、紫苑が迎えに来てくれるんだっけ?
奈子ちゃんのペースにすっかり流されてしまっていた。
「ごめん、奈子ちゃん。
今日は、用事ないんだけど私高校まで紫苑に送り迎えしてもらってるの。
紫苑、今こっちに向かってると思うからその件はまた今度でもいいかな?」
「…?
そっか、彼氏さんが迎えに来てくれるのなら私は邪魔できないね!
また今度、一緒に行こう!
じゃあ、また明日学校で会おうね。」
しまった…
勘違いをさせてしまった。
いきなり、私の事を知らないから紫苑って口に出したら身内だとは思わないよね。
笑顔で手を振り、少し小走りで奈子ちゃんは行っしまった。
また、今度訂正すればいいか…。
勘違いをさせていることが少し申し訳ないような気がした。
それよりも、嵐のような子だったな。
急に静かになった教室。
それから、まもなく紫苑から電話が入り私は紫苑の車に乗り家へ帰った。


