沙奈の眠りを見守っていると、仕事から紫苑が帰ってきた。
「翔太、今日はありがとう。
疲れただろうから俺が代わるよ。」
「いいよ。これくらいさせて。
それよりも、沙奈。
体重減少が著しいみたいで、これからもっと注意深く沙奈の食事に気をつけないとな。
大翔先輩も、沙奈の体の変化に気づくくらいだから相当減ったと思うんだ。」
沙奈を抱えた時もそうだったけど、あまりにも軽かった。
「そうだな。
ここ最近は、あまり食べられてなかったからな。
それに、1度大きな発作を起こしてから体力も随分落ちたと思うんだ。」
「そうかもしれないな。」
沙奈には少し辛いリハビリになると思うけど、頑張ってもらうしかないよな。
これ以上、体重が減ったりしたら今後の成長にも影響してくるよな。
それに、何より女の子だからな。
「翔太、沙奈の体起こして。」
「えっ?」
「発作だ。吸入器持ってくるから、少し前かがみになるように沙奈の体支えて。」
紫苑は、急いで部屋を出ていき吸入器を持ってきた。
「沙奈、大丈夫だからな。
ゆっくり深呼吸だ。」
沙奈の呼吸のタイミングに合わせ、沙奈も上手く吸入した。
それでも中々収まらない発作に、沙奈の意識が段々と遠のいて行くのが分かった。
意識がないと、吸入もできないし酸素状態が段々と悪化していく。
「沙奈、意識だけは保ってくれ。
落ち着いて。」
紫苑と、交互に沙奈へ話しかけ何とか意識を保ってもらうように呼びかけていた。
発作は、30分して落ち着いた。
咳は治まったものの、まだ喘鳴も残っていて肩呼吸をしているから苦しいと思う。
「沙奈。傍についてるからな。」
沙奈の不安を汲み取り、紫苑はそう話しかけた。
「紫苑。苦しい…。」
「まだ、ひゅーひゅーって音がしてるから苦しいよな。
吸入したから、もう少しで落ち着いてくるよ。
苦しかったよな。」
紫苑は、そう言い沙奈を優しく抱きしめ背中をさすっていた。
「沙奈、酸素の値測るから指出して。」
沙奈は、指を出し酸素の値を測った。
「サチュレーションはいくつだ?」
「88%。あまり、良くないな。」
「酸素、1Lで始めるか。」
「沙奈、ごめん。
酸素少しだけ入れるよ。」
「私、また悪くなるの?」
「前よりは、酸素を入れてる量も少ないから大丈夫。
ゆっくり眠って、休んだらすぐに楽になるからな。」
沙奈の心配を減らすことができるよう、1晩俺と紫苑は、沙奈と一緒に一夜を過ごした。


