今日はなんとか振り切れたけど、帰ったら何か言われるよな…。




桜並木の道を、私は俯きながら歩いていた。





「沙奈!おはよう。」





私と幼なじみの音羽は走りながら私の横に並んだ。





「音羽。おはよう。」






「どうしたの?浮かない顔して。」





「そんなことないよ。元気だから大丈夫だよ。」





「そうは見えないけどな…。何かあったの?」






「本当に大丈夫。それに、何かあったらすぐに話すから。」





私のその言葉を聞いてから、音羽は何も触れてこなかった。




音羽は、幼なじみだから今すぐにでも話さないといけないことと、時間をかけてもいいことの区別をしてくれる。



だからこそ、いつも私のタイミングで話を聞いてくれし待ってくれる。



そんな関係が心地よい。



「沙奈、音羽。俺たち皆クラス同じだったよ!」




学校に着いてから、私達はすぐ自分のクラスを探していた。





「あ、瑛人。本当に皆同じクラス?」





「この目ではっきり見たから本当だよ。」




瑛人も、私たちと同じ幼なじみ。




私達3人は、小さい頃からずっと一緒だったからみんなが同じクラスで安心だな。




それから、長い入学式も終わり私達は部活見学へと向かった。




携帯には、何回か翔太と紫苑から連絡が入っていた。




いつもは、すぐに折り返して電話をかけるけどここ最近は私から折り返しの電話をかけることはなかった。



体調のことを心配してかけてきてくれてるんだろうけど。



正直、今は自分から話すことは辛い。




体調の面で隠すことは出来ないだろうけど、できれば1日でも長く病院へ行かなくてもいいように過ごしたい自分がいる。




そんなのきっと、わがままだよね…。



「沙奈。ぼーっとしてるけど大丈夫?」



「あっ、うん。大丈夫!」



「何かあるなら、私が話聞くよ?


沙奈の話すタイミングを待とうって思ったけど、もし何か1人で抱え込もうとしているならそれは放っておけないよ。」




「音羽…。


心配してくれてありがとう。


だけど、もう少しだけ時間もらってもいいかな?


色々と、心の中で整理整頓したいから。」




「分かった。


沙奈の話たい時に、いつでも話していいから。


部活見学は行けそう?」




「うん。大丈夫。」




「じゃあ、行こうか。


瑛人!私達の準備終わったから、早く部活見学行こう!」



「おう!


じゃあまたな、晴翔。」



「またなー!」



それから、私達は教室から出て外に出てきた。



「瑛人はやっぱりサッカー部にはいるの?」




「うん。もちろん!



沙奈。サッカー部のマネージャー来る?」





「いやー。マネージャーはな…。」





「沙奈がいれば、俺も頑張れるのに。」





瑛人はそう言いながら顔を膨らませていた。




「それなら、私がなってあげようか!」




「音羽がマネージャーなら、皆音羽を恐れて気合も入るし、たくさん練習しそうだな。


それはそれで、いいのかもしれないな!」





「何それ。まるで私が怖い人みたいじゃん。」





「事実だろ。」




瑛人と音羽のやり取りを聞きながら、私達は色んな部活へ回った。





「俺、サッカー部に入部届け出しに行くけど2人は先に帰ってて。」




「いいよ、ここで音羽と待ってる。」



「さんきゅーな。じゃあ、超特急で行ってくる!」



「そんなに急がなくてもいいよ。用事はないから。」



あまりにも爽やかな笑顔を振りまく瑛人が、本当に走って怪我をするのが心配で瑛人にそう言った。



「そういえば、入試終わってからご飯食べに行ってないね。



今日、3人でご飯食べに行かない?」



入試が終わったら、3人でご飯に行こうって話してたんだっけ。



「でも。私あまり遅くなると紫苑達が心配するからな…。」