鳴子がお礼を言いながら帰った後、蘭と圭介もかばんを手に宿泊しているホテルへと帰ることになった。もう空はすっかり暗い。

「解決できてよかったです。でも、神楽さんがいなかったら俺はずっとあの人のことを誤解してたままでした。それにあんな素敵な歌を作った人の人生も知れなかった」

圭介が言い、蘭は「歌のタイトルの意味はラベンダーでしたよね?」と圭介を見つめた。圭介は頬を赤くしながら頷く。

「ラベンダーの花言葉は、「あなたを待ってる」「期待」「幸せがくる」という意味があるとゼルダから教えてもらったことがあります」

「なら、タイトルがラベンダーなのって「あなたの笑顔がやってくるのを待ってる」っていう意味なんですかね?」

「ラベンダーには他にもたくさんの花言葉があるんです。恐らく彼女はこうした意味でラベンダーというタイトルにしたのではないでしょうか?「許し合う愛」という意味で……」

蘭がそう言うと、「なんかオシャレですね。鳴子さんが聞いたらまた泣くと思います」と圭介は言った。