「あなたはミカさんを悪く言う際、右上を見ていました。これは人が嘘をついている時に取る行動です」

「それが何?私は話す時に右上を見る癖があるのよ」

「ミカさんが全て教えてくださいました」

蘭はそう言い、解剖結果がまとめられた紙を取り出す。ミカの言葉を蘭は誰よりも早く、そして的確に汲み取ったのだ。

「ミカさんの体には多くの傷がありました。しかし、これらは全て虐待でできたものではなく、ミカさんの不注意による転倒などでできたのではないでしょうか?しかし、ご近所の方からは虐待を噂され、どれだけ否定しても信じてもらえなかったのではないでしょうか?」

鳴子は俯き、体を震わせ始める。蘭はその手を包み、話を続ける。

「ミカさんの胃の内容物はきちんとした食事でした。かなり痩せていましたが、体にはきちんと栄養が行き渡っていました。それは鳴子さんがきちんと食事をミカさんに作っていた証です」

続いて、圭介がベッドのシーツに落ちていたシミの写真を見せる。そして優しい声で言った。