優しい歌を思い出し、蘭は涙をこぼしそうになる。星夜が優しく歌ってくれた時のように、心が温かかった。

「どういうことなんですか？」

そう訊ねる圭介の方には振り向かず、蘭は死因を調べるために部屋の外へと飛び出した。



それから数日後、死因を特定できた蘭はジョンに頼んで鳴子を呼び出してもらった。スーツ姿で応接室に入ってきた鳴子は相変わらず嫌そうな顔をしている。

「あの子の死因なんてどうでもいいわよ。どうせ私は、近所の人が話すように冷酷な母親なんだから。我が子を愛せないんだもの」

そう言い続ける鳴子を蘭はジッと見つめる。隣に座っている圭介は前はあれだけ見せた怒りを見せようとはしない。蘭に全てを教えられたからだ。

「いくつか、お話をしなければならないことがあります。まずはミカさんの死因です」

蘭はそう言い、ミカの顔を映した写真をテーブルの上に置く。そしてまつげを指差して言った。

「ミカさんの死因は、まつげエクステによるアナフィラキシーショックでした」