空港からおよそ三十分のところに世界法医学研究所は建っている。日本で蘭が働いている建物の数倍は広く、働いている監察医の数や技術も比べ物にならない。

「大きい……!」

予想以上の大きさだったのか、圭介が驚きの声を上げて広い敷地内にある三階建ての建物を見つめる。

建物に入るためには大きな門を通らなければならない。その門には銃を携帯した警官が見張りとして立っていた。防犯カメラが死角がないように設置されており、夜間に侵入者が入らないように仕掛けも施されている。

「ずいぶん変わりましたね……」

蘭はそう呟いていた。自分がいた頃に比べて、この法医学研究所はガードの固いハリネズミのような建物に変わってしまっている。危害を加えようものなら容赦しないのだろう。

「ジョン・マクフライさんと会う約束をしております。日本の監察医の神楽蘭です」

蘭はそう警官に伝え、証拠となるメールを見せる。ちなみにジョン・マクフライとはアメリカの法医学研究所の所長だ。