「ところで、アメリカに来たのはいいんですけどどこに今から行くんですか?アーサーさんの居場所、知ってるんですか?」

「いえ、彼は「アメリカに来い」と言っていましたが、どこに自分がいるというのは話していませんでした。なので、アメリカにある世界法医学研究所に向かおうと思います」

アメリカにある世界法医学研究所は、蘭が星夜と共に働いていた研究所だ。そしてそこで銃撃事件が起こり、仲間を殺され、星夜を失ってしまった。

「もうアメリカの法医学研究所の所長に連絡はしてあります。行きましょう」

蘭は空港を出てすぐ、停まっていたタクシーに行き先を告げて乗り込む。圭介も慌ててタクシーに乗り込んだ。そしてタクシーは世界法医学研究所に向けて走り出す。

銃撃事件の後、世界法医学研究所はセキュリティをさらに頑丈にして解剖を続けている。所長や何人かの職員は蘭が働いていた頃にいた人物だ。

星夜と過ごした思い出のあるアメリカの空気に、蘭はゆっくりと目を閉じた。