脳内お花畑!って言われるかもしれない。
だけど私普通、に生きるって決めた。
普通に大学行って、就職して。
素敵な恋を見つけるの。
そのために治療を繰り返してきたんだって思ったら報われる気がするから。
私、恋愛漫画みたいに恋が上手くいくなんて思ってないからまず友達を作ることからスタートしたの。
治療が一段落したら学校で積極的に話しかけて。
その中で恋を教えてくれる人と出会った。
その人は年上だったけど私より年下みたいで一緒にいて楽しかった。
…最初の頃はね。
付き合ってもうすぐ1年って時にその人とその友人から性暴力を受けた。
私の病気と今まで伏せてきた聴力障害持ってるってこと理解してくれてると思って信頼してた人から。
…今まで積み上げてきた努力が全部バラバラ崩れる音しかしてなかった。
…私なんのために頑張ったんだろ。
どうして辛い目に遭わないといけないんだろう。
普通、に生きたいだけなのに。
性暴力を受けている間の頭の中は割と冷静で。
無抵抗にしておけば早く終わるって直感でわかった。
頭は冷静でも、体は悲鳴を上げてて。
正直終わったあとは動けなかった。
震える体を無理やり起こして壊れた補聴器を握りしめて近くのコンビニに向かう。
制服で特定できるだろうけど鞄の中から生徒手帳も出しておいて。
コンビニについても話せる状態じゃなかったからとりあえず病院に連れてって欲しかった。
…1番は家族に会いたかった。
安心したかった。
コンビニに着いたら案の定意識が飛んで。
…良かった、助かった。
…これでもう大丈夫。
話す元気は元々なかったからそのまま倒れ込んでしまった。
コンビニの人が呼んでくれたであろう救急車で病院に。
でももうその辺の記憶はない。
…うん、ここからは私の記憶も朧気なの。
それからいつもの内科じゃなくて私は精神科に入院していた。
人を信じることが怖くなって1人になりたくて。
姉の後を追って病室の窓から飛び降りたら次目覚めたら精神科病棟だった。
暴力を受けていた時に打ちどころが良かったのか聴覚神経が奇跡的に回復してきたってこと。
その時初めて妹の声を聞いたこと。
…私の中でそれくらいしかいいことなんてなかった。
聴力障害になったのだって事故にあってからだったから。
妹が生まれるずっと前。
家族の声しか覚えていない。
「お姉ちゃん」
「麗華」
家族がそう呼んでくれることが嬉しくて。
何度も泣いたことを覚えている。