ここなら学生も社会人も入りやすいお店だ。
比較的近い場所が空いてたからそこに駐車してお店に入る。
「いらっしゃいませ!…ってあれ?」
「?」
「麗華じゃない?」
…誰だっけこの人。
「お知り合いですか?」
「知らない人。」
「仮にも高校同じだったやつに冷たいこと言うなよー。」
…高校が同じだったら知り合いなのか。
私の中の知り合いの定義がおかしいのであろうか。
「まあいいや、2名様はいりまーす!」
このお店何度か来てるけど高校の同級生に会ったのは初めてだ。
将斗くんも不思議そうな顔をしている。
「ごゆっくりどうぞ。」
席に案内された私たちの前に置かれたメニュー表。
「麗華さん何食べます?」
「そうだなあ…チーズハンバーグかなあ」
「俺はおろしハンバーグにします!」
「おっけー、あ、あと敬語抜いていいよ。
さん付けもなしでいいし。」
「まじ?なら遠慮なく。」
ひとつしか変わらないし会社の上下関係もないなら敬語なんていらないでしょ。
「実は敬語苦手。
特に麗華さ…麗華って兄貴と同い年だから余計。」
「お兄さんいるんだ?」
「うん、仲良くは…ないけど優しいよ」
「そっかあ。」
私には妹がいる。
姉はいた。
妹は今14歳…のはず。
注文を済ませて世間話を楽しむ。
何気ないことが楽しくてつい頬が緩んでしまう。
【松原麗華side END】

【堀江将斗side】
直接会った麗華はやっぱり想像通りの人で。
話してみると案外楽しくてずっと笑っていられる。
…麗華の表情も心なしか柔らかいような気がする。
「麗華にはきょうだい、いないの?」
「いるよ。」
麗華の人となりは何となくわかるけど背景が全く見えない。
話してるけど自分のことは触れないと話さないところとか。
「今は妹がいるよ。」
遠い目をする麗華になんとなく引っかかる。
今はってどういうことだろう…
でもまだ知り合って間もないからあんまり踏み込んで嫌われたくない。
「…ふっ…」
微かに笑う声が聞こえたから麗華を見ると微笑む、じゃなくて笑っている麗華がいた。
「知りたいって顔してる。
いいよ。教えたげる。」
「いいの?」
「車に乗ってからね。」
テーブルに運ばれてきた料理を見て麗華は微笑む。
ここに来るまで少し話してたけど麗華ってこんな感じで笑うんだ…
冷たそうだなって思ってた時の自分を殴りたい。
「あ、このあとどうする?」
「食べてから?
私はまだ空いてるけど…」