なんて綺麗な人なんだ、って思った。
纏ってる雰囲気はどこか儚くて、実際に会ったらどんな人なんだろうなあって考えて。
やり取りしてる時もイメージ通り丁寧で優しい人なんだってことがわかった。
仕事、何してるんだろうなあ…
今日会った時に聞いてもいいかなあ…
『麗華さん、申し訳ないんですが今日会うとなると僕車出せなくて…』
『気にしないでいいよ、私車で通勤してるから。どこ行けばいい?』
この答えがもう意外すぎた。
『迎えに来てくれるんですか?』
『うん。帰るより早いでしょ。』
ご最もなんだけどさ?
『じゃあ…車の停めやすい駅…』
『おっけ。ならあそこでいいか。』
本当に迎えに来てくれるらしい。
麗華さんが提案してきたのは最寄りから2駅の大きな駅。
丁度駅に着く時間と麗華さんが向かってきてくれる時間が被るからそこにすることにした。
「女か」
「女の子だけど?」
こんな綺麗な人が俺と会ってくれる。
ある意味すごくない?
投稿されてる写真とか見てもなかなか表情は変わらない。
微笑んでる、のはあるけど笑顔、がない。

この時、笑顔にしたいって気持ちが俺の心の奥底に芽生えた。

そして、彼女の中でも何かが少しずつ変わってきてることも。

この時の俺はまだ気づいていなかった。
【堀江将斗side END】

【松原麗華side】
…あれ?
ここ、でいいんだよね?
『着いたよー』
あれからインスタグラムのアプリを開くのが面倒になってLINEを交換した。
『お店の横にいるよー』
適当に車を止めて将斗くんにLINEを送る。
『了解です!』
ルームミラーで後ろを確認する。
走ってくる男の子がいるからあの子かな?
「…」
インスタグラムで何回か見た顔だ。
将斗くん本人だ。
「…」
軽く頭を下げて助手席を手で案内する。
「し、失礼します!」
「どうぞ。」
「あ、カバン後ろに置いてもいいですか?」
「構わないよ。」
後部座席のスライド式ドアを電動に変えてあける。
重たそうなリュックの中から財布を取り出して助手席に戻ってくる。
「…えと、はじめまして!」
「あ、初めまして。麗華です。」
「将斗です!!」
元気いいなあ。
ひとつしか年変わらないのに元気なだけで若いなあって感じてしまう私が変なのか…
「麗華さん、すぐにわかりましたよ!」
「え?」
「思ってた通りの綺麗な方でした!」
「ありがとう…」
とりあえずずっと駅に停まってる訳にもいかないからとりあえず車を走らせる。
「あ、麗華さんご飯食べました?」
「?まだだけど…」
「ご飯行きましょ!」

将斗くんの一言で私は車をある場所に走らせる。
安くて美味しいお店。