心配なんてされても。
迷惑、とも思わないしほっといてくれ、とも思わない。
「ほら、キミは総務課だけじゃなくて社長秘書としても働いているだろう?」
「…はあ」
「なのに総務の仕事も人一倍やってる。
ストレスを抱えたりしてないか、って心配なんだよ。」
そんな心配してくれるくらいならさっさとデスクに戻して欲しい。
現在午前10時。
10時半までに仕上げなければならない資料があるのだ。
「俺で良ければいつでも相談乗るからね。
直接でもメッセージでも。」
「…ありがとうございます」
正直誰かに相談する、というのは考えたことがない。
それは甘え、だと思ってきたから。
…そうか、私は抱え込んでいるように見えてたのか…
先輩の後ろを着いて総務に戻る。
仕事に集中するためにたまにつけている補聴器を外す。
鞄の中に入っている携帯を取り出し、SNSを開く。
『お仕事頑張ってくださいね』
『ありがとう』
インスタグラムでやり取りしている1つ年下の男の子。
将斗くん。
たまたま知り合ったら私の後輩の友達だということが判明した。
それから何となくやり取りを続けている。
『良ければ会いませんか?』
『仕事終わりでいいなら。』
『僕も学校があるのでその後ですよ。笑』
次社会人になる学生。
学生と言うだけできらきらしている。
今度こそ携帯をしまって私はパソコンとにらめっこを開始した。
隣にいる先輩が苦笑しているのが何となくわかってとりあえず視線だけそちらに向けるがすぐにパソコンに戻す。
…将斗くん、どんな子だろうなあ…
SNSから会う、なんて危ないって思うかもしれないけど、後輩の友達だからか危機感はあまりない。
仕事終わりの楽しみが出来てウキウキ気分で仕事に励む。
それからの私は多分いつもと同じ顔だっただろうけど。
【松原麗華side END】

【堀江将斗side】
…き、緊張したあ…
会いませんか?なんて言うのが初めてで…
SNSだから拒否されると思ったのに…
何となく写真とかを見て綺麗な人だ、と思ったからSNSで話してる。
会社で働いてるって言ってたけどどんな仕事なんだろう…
なんかやり取りしてる中で病弱、とは聞いてるけど…
「堀江、どしたん。」
「学校終わりに女の子とあってくる。」
「は?彼女?」
「まさか!俺が振られたばかりなの知ってるだろ。」
俺はつい最近、彼女に振られた。
その傷を癒したくてSNSに没頭したんだ。
そしたらたまたま見つけた綺麗な人。