私みたいに愛想ない奴に甘えられて嬉しい男なんて居ないだろう。
病気持ってる時点でお荷物だと思われてると思う。
「…」
本当は気づきたくなかったなあ…
私にとって将斗くんがこんなに大きな存在になるとは思っていなかったから…
本当は好きになりたくなかった人。
【松原麗華side END】

【堀江将斗side】
麗華が入院してだいぶたった。
夕紀さんから連絡が来て、退院したってことは聞いた。
今日は成人式。
周りには振袖姿の女の子やスーツ、袴姿の男の子が居る。
俺はスーツを着て、髪をセットしてもらって参加している。
友達が彼女と写真撮ったりしているのを見てなんだか会いたくなって。
『今日成人式だけど写真撮りたい?』
…本当は違う。
俺が撮りたい。
『撮りたいけど今家だよ』
『遠い笑』
退院したばかりの麗華にこちらまで来てもらうのは申し訳ない。
『後で写真送る』
『うん、楽しみにしてる。』
麗華が万全だったら迎えに来てもらってたかもしれないけど、入退院繰り返してる彼女にそんなこと言えない。
「将斗ー!一緒に写真撮ろうぜ!」
仲の良い友人に手招きされて俺は輪の中に入る。
友達の1人が彼女と帰るのを見てただ微笑ましいなあと思いながら見送る。
麗華が同い年だったら…
麗華が年下だったら…
振袖姿見れたのかな。
「そういや将斗、彼女は?」
「ん?」
「別れてから彼女は?」
「いるよ。」
「まじか、どんな子?」
どんな子…
麗華を一言で現すなら…
「脆い子。」
「…どゆこと?」
「守ってあげたい、そんな人。」
麗華の方が年上だけど。
俺よりずっとしっかりしてるけど。
「素敵な人と巡り会えたんだな。」
「うん。」
本当に素敵な子だと思う。
暫くの間会えてないし、多分もう少し会えないけど。
俺のテストが終わるまでは。
会える時なら全力で楽しまないと。
…麗華に甘えられたい。
どうしたら甘えてくれるだろう。
…うーん。
「…なあ?」
「ん?」
「彼女に頼られるにはどうしたらいい?」
元カノは年下だったから自ずと頼ってきてもらってたと思うけど…
麗華は俺を頼ってこない。
なんでも自分で解決しようとしてる。
「そりゃお前、男を見せるしかないだろ。」
「どうやって…」
「彼女を守れるようにいつでも構えときゃいいんだよ。」
守れるように…
これでもかなり構えてる方なんだけどな…
男が足りないのかなあ…
「会ってこればいいじゃん」