その度に将斗くんも握り返してくれる。
どうしても、この手を振り払うことが出来ない。
私はそれくらい将斗くんに恋をしている。
【松原麗華side END】

【堀江将斗side】
麗華の車の中。
ほんのり暖かい麗華の左手。
右手で片手運転している麗華の顔は少し怯えていて。
メガネをかけているから分からないけど多分怯えているんだろう。
握っている手が少しだけ震えているのがわかる。
来てくれるまでは怒りで満ち溢れていたけど。
麗華の車を見て、中に乗っている麗華を見た瞬間どうでも良くなった。
道が凍っていて危ない中来てくれた。
一緒に年越ししようって来てくれた。
もうそれだけで充分だよ。
「道わからなくなっちゃった。」
「案内するからいいよ。」
メガネの奥にある目が少し潤んでいる。
道案内をしながら車に揺られること10分ほど。
俺の家から1番近いコンビニに到着。
会って真っ先に出てきた感情は愛しさだった。
ほんとそれ以外どうでも良くて。
大切な存在なんだって改めて思い知らされた。
「ちょ腹減った…」
あ、でもお金ない…
「なんか買ってくる?」
「金ないからいいか。」
「貸すよ。」
迎えに来てもらった挙句金まで借りるのは…
って思ったけど空腹には耐えられず1000円借りることに。
「麗華…」
「ん?」
「誰にでもお金貸したらダメだよ?」
「何言ってるの?
将斗くんだから貸したんだよ?」
キョトンとした顔で“何言ってんだこいつ”って言われてるような気がした。
「…ありがとう」
空腹には何も勝てずとりあえず腹ごしらえ。
適当に食べたいものを購入して麗華の車に戻る。
食べるだけ食べてゴミを捨てるためにもう一度コンビニへ。
助手席に乗り込んで時刻を確認。
麗華を見、時刻の確認をし、携帯を眺める。
…何となく、麗華にLINEを送る。
『大好き』
「?!」
真横にいるのに突然送られてきたLINEに驚いたのか麗華は俺を見る。
「えっ…?!」
「大好き」
「…私も…大好き」
…口に出して言ったのはもしかしたら初めてかもしれない。
「隣にいるのにLINE送ってくる人将斗くんしか知らない」
…でも送り返してくる麗華もいい性格してるんだよなあ。
『来年もよろしくね。』
年が変わる数分前の会話。
少し遡れば喧嘩してる内容のやり取り。
「…あけましておめでとう」
日付が変わり、年が変わった今。
好きな子と過ごせている事実がもう嬉しすぎて。
感動。