呑みすぎて気持ち悪いのか、白血病で気持ち悪いのか、分からないけど既に気持ち悪い。
『少しなら会えるけど、会う?』
『今日バイトって言ってなかった?』
『それまでには帰るよ。』
…どこまで優しいんだろう。
酔っぱらいの振られた話を聞きに来てくれるなんて。
『なら、会いたい』
そして酔っている時の私は…とても素直だ。
【松原麗華side END】

【堀江将斗side】
『なら、会いたい』
…あれ、めちゃ素直じゃない?
相当酔ってるのかな。
好きな人に振られたって…
今なら俺の方振り向いてくれるんじゃないかって…
そんなずるい考えから会う?なんて言ってしまった。
言ってしまったものの、本当に会いたいだなんて言ってくれると思っていなかったからとてもびっくりした。
「母さん、ちょっと出かけてくる。」
「どこに?」
…なんて言うべきなんだろうか。
この場合…
あっ…そうか。
「好きな子のところ。」
俺はニカッと笑って続ける。
「告白してくる。」

「ーーー…っと…?
この辺だよな?」
麗華がこのコンビニまで来るって言ってたから…
待ってたらいいか。
『着いたよ。』
『あと2分近く待ってて』
『了解』
2分…
文面の感じではそんなに酔っ払ってるとは思えないけど、どうなんだろう…
「あっ…麗華きた…」
携帯片手にフラフラになりながら歩いてくる麗華が車のミラーに映った。
俺は車から降りて麗華の元に行く。
「…うぉっ…」
思ったより意識がしっかりしている…
でも確実に酔っている。
フラッフラだ。
「とりあえず、乗りなよ。」
麗華はニコッと笑って車の助手席に乗り込んだ。
「…それで、何があった?」
「うん…振られた。」
麗華を振るなんて勿体ないことしたなあ…
こんなに綺麗で優しい子を振るなんて俺には考えられない。
「だからやけくそになってお酒大量に摂取。」
「どれだけ飲んだ?」
「…覚えてない…っ…
…ただ、暴飲してたから…」
麗華は少し俯いて俺から目を逸らした。
声の感じからして泣いてるのか。
「…忘れよ。」
「…うんっ…」
「他にもいい男はいっぱいいるよ。」
俺なら、麗華のこと大事にする自信ある。
過去のことも含めて絶対。
「…っ…」
「泣くなって〜…」
よほど好きだったんだな…
基本無表情の麗華がこれだけ表情崩してるんだから…
その人のこと、本当に好きだったんだ…
「…ごめ…っ…」
「…」
髪で隠れて見えないが明らかに泣いている。