「ご飯作ってあるよ。」
「ありがとー。」
「お父さんは?」
「残業だって。」
…申し訳ないなあ。
私のせいで生活苦しいのに。
その私本人が家でパソコン業務って…
「迷惑ばっかりかけてるね…」
「何言ってるの。」
部屋着に着替えた母親が私の頭に手を置いてニカッと笑う。
「子供がそんなこと考えるんじゃありません。
成人しても子供!
子供は親に甘えとけばいいの!」
「…ふふっ、ありがとう。」
「さてさて、お風呂行ってくるね。」
私はコクリと頷いてパソコンに目を戻す。
携帯をちらりと確認すると将斗くんからLINEが来てた。
『麗華ー』
『どうしたの?』
『もう消えたい。』
…何があったんだろうか。
『どうした?』
パソコンをしながらやり取りしてるもんだから打つ速度が遅くなってしまった。
『俺ってやっぱり要らない存在なのかな。』
…は?
何言ってるんだろ。
一旦パソコンから目を離し携帯を睨む。
『話してくれないと分からない。』
『だよね。ごめん。』
『で、どうした?』
『…ごめん、やっぱり忘れて。』
ーイラッ…
『用無しならそれでいい。』
『違う!迷惑かけたくないだけ。』
「…っはぁ…」
『用無しならそれでいい、気にしないで。』
多分この時の私は書類制作がうまくいかないっていうのと軽く発作で上手く頭が回ってなかったんだと思う。
私は普通に打ってたつもりなんだけど将斗くんには怒ってるように見えたかもしれない。
「麗華ー、お風呂ありがとー。
…ん?もう寝る?」
「ごめん、疲れたから寝る。」
「ん、おやすみ。」
私はその日携帯の電源をオフにして誰とも連絡がつかないようにした。
今の状態で下手に連絡すると八つ当たりみたいになってしまいそうだから。
【松原麗華side END】

【堀江将斗side】
…あれ、怒らせちゃった?
あれから麗華からの連絡が途絶えてしまって朝になっても返ってこない。
…好きかも、と自覚し始めた相手に無視されるのがこんなに辛いとは…
ーピロン
『昨日はごめん。言い方きつかった。』
『大丈夫。俺の方こそごめん!』
『昨日は軽く仕事でいらいらしてて、申し訳ない。』
…そこに俺があんな感じで言ってしまったから…
更に拍車をかけてしまったのかもしれない。
『八つ当たりしても大丈夫だから、また遊び行こ!』
『笑
だね。』
麗華の文章も、あった時も素っ気ないけどなんだかんだ相手を思いやる優しい心を持ってる。