第5章・9月『友だち』

 こんなに短かかった夏休みは初めて。
 朝から晩までボールを追いかけて。
 なにも考えられないくらいクタクタに疲れて眠る毎日。
 夏休み前には3年生が引退してしまう受験校で、そのうえ女子が学年に60人いるかいないかな学校の女子バレー部員は、大会にエントリーすることもできないまま引退する先輩たちも多かったそうなのに、あたしたちはたったの8人でやり遂げた。
 選手権地区予選1回戦突破。
 専門誌の取材のひとも来ない、末端の予選会。
 それでもみんな真剣だった。
 あたしたちも。ほかの学校の選手も。みんなみんな。
 
 強くたって、弱くたって、うまくたって、へただって。
 バレーボールに懸ける気持ちは同じ。
 ああ…。
 あたし、逃げなくてよかった。