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6月のメインイベント、球技大会。
麦と石川のおかげで勉強では勝ったつもりになっているわがD組は、みんな鼻息が荒い。
「男女混成だから、まず女子の希望優先。それから中学で部活やってたやつな。
言ってくれれば優先する」
教壇でエキサイトしているのは石川。
自分からクラスの委員長に立候補した石川に、クラスのだれひとり[赤根 麦に敗北した男]というレッテルを貼らなかったのは、すばらしいことだと思う。
考えてみればまぁ、みんな中学のころはトップグループにいた子たちなんだから、負けず嫌いなのはあたりまえなのかも。
「はいはい、石川くん、落ち着いて。そんなに大げさに考えんでも、楽しくケガなくすごしてくれたまえよ、諸君」
反対に担任の河島がまったくやる気を見せないのは、どうせ3年生には勝てっこないという経験則からだろう。
中学の頂点から高校の底辺へ。
最上級生から最下級生へ。
高校1年生って、おもしろい集団だよね。



