片思いー終わる日はじめる日ー

「…………」
「…………」
 あたし、顔をあげなくちゃ。
 もう、きみのまえで、うつむいたらだめだよね。
 ほら見て、(ばく)
 あたしもう泣いてない。
「…………」
「…………」
 立ち上がるあたしに合わせて、麦もすっと立ち上がる。
 あたしたちは麦が地面に落としたエコバッグから、にょっきり飛び出したネギをはさんで立っていて。
 ツリーの電飾はあたしたちをチカチカ、不気味に赤や青に塗り替える。
 頭からすっぽり音が抜けると、クリスマスってあまりロマンティックじゃないんだね。
 
 赤は止まれ。
 青は――――行け!

 ロマンティックじゃないのは、あたしだからか。
 思ったら自然に笑えていた。

「…あいだゆみ、トゥ」
「…………」
「…………」
「…………」
 麦は何度か赤や青にまたたいて。
 それから黙ってあたしの差し出した封筒をコートのポケットにしまった。
「横着しやがって」
 そう言ってどすんとベンチに座ると、あたしに目で座れって合図する。
 あたしはこっそり、頬の涙を拳でぬぐいながら、となりに座る。
 座ったとたん、麦はあたしのおでこをひとさし指で突いて言った。
「構文的には、me tooが正解だな」
「…………っ!」

 どちらが先に笑いだしたのかわからないけど。
 あははははははは。
 この笑顔はだれにも…、だれにも見せてあげない。