片思いー終わる日はじめる日ー

「やっぱり、よそうかなぁ……」
 さっきからアーケードはジングルベルの押し売りで。
 最初は冷たかったプラスティックのベンチもすっかり気にならなくなったけど、冷えてきた手をポケットに突っこんだら、カサッとかたい紙の感触。
 啓介にはあぁ言ったけど、本当は(ばく)に出そうと思って作ったカード。
 どうしても出せなくて。
「消印ついてないと、やっぱり変…だよねぇ」
 郵便受けに入れちゃえ、と思って持ってきたんだけど。

「あーっ、まずい。もう6時じゃん」
 あたしったら、1時間半も、こんなところでなにやってんだろ。
 せっかくクマが早めに――自分の都合もあるかもかも? ――練習を終わらせてくれたのに。
 だいたい、広場にこんなに大きな電飾ツリーを立ててさ、電気代は大丈夫なの?
 恋人さんたちは商店街なんかですごしませんよ。
「じんぐるべー、じんぐるべー、すずがぁ、なるぅ……か」
 この音、麦もあのひとりぼっちの部屋で聞いてるのかなぁ。
 聞こえるよね、きっと。
 さびしくしてないといいけど……。

 アーケードを行き過ぎるひとたちはツーショット。
 まわりにべンチなんか置いたって、こんなところに座ってツリーをながめるのなんて、買い物に疲れたお母さんとチビっ子だけさぁ。
 ふん。