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明日は終業式っていう日。
『今度は絶対、どこか行きたい』って大海ちゃんにせがまれた。
そんなこと言ってもあたしは部活だし。
暮れや正月は、大海ちゃんが『パパが泣いちゃう』って言うから。
あたしたちは今や完全に1班の最警戒人物は、実は大海ちゃんだったという結論に達している。
もちろん5人で笑いながらだけど。
結果。
終業式のあと、ささやかな昼食会、開催。
ふ、うーん。
お好み焼き屋さんて、こんななんだ。
自慢じゃないけど、知らなかったぞ。
井森に連れられて寄り道はするけど、あの子はこんな、制服や髪に匂いが移るような場所は絶対、選ばないし。
男子とつきあうのは、なかなか刺激的。
「うわっ、だめだめ、石川! 鉄板の上でまぜちゃだめ」
「じゃ、どうしろってんだよ、内山」
「内山、こんなかんじですか?」
「うわ、もう。そんなにのばしちゃクレープだよ、伊勢」
うっちゃまんが主導権をにぎってるなんて前代未聞。
あはははは。
「内山、も、おまえ全部やれ! オレできたの食うから」
とうとう石川はふくれちゃって。
「そうそう赤根、うまいじゃない。石川のも焼けたらひっくり返してやって」
「やだよ、啓介のどろどろなんて」
「差別すんなっ。オレのだって食い物だぞ」
いやぁ……。
知らなかったなぁ本当に。
男子って、食べ物に、こんなに夢中になれるんだな。
「すっごい。みんな真剣だね」
小声でささやくと、大海ちゃんがぼそっとつぶやいた。
「わたし、もーおなかいっぱい」
あはははは。
「ちょっと、相田。笑ってないで、そのブタタマひっくり返さなきゃ」
「はいはい、うっちゃまんセンセ」



