片思いー終わる日はじめる日ー


 * * *

 明日は終業式っていう日。
『今度は絶対、どこか行きたい』って大海ちゃんにせがまれた。
 そんなこと言ってもあたしは部活だし。
 暮れや正月は、大海ちゃんが『パパが泣いちゃう』って言うから。
 あたしたちは今や完全に1班の最警戒人物は、実は大海ちゃんだったという結論に達している。
 もちろん5人で笑いながらだけど。
 結果。
 終業式のあと、ささやかな昼食会、開催。


 ふ、うーん。
 お好み焼き屋さんて、こんななんだ。
 自慢じゃないけど、知らなかったぞ。
 井森に連れられて寄り道はするけど、あの子はこんな、制服や髪に匂いが移るような場所は絶対、選ばないし。
 男子とつきあうのは、なかなか刺激的。

「うわっ、だめだめ、石川! 鉄板の上でまぜちゃだめ」
「じゃ、どうしろってんだよ、内山」
「内山、こんなかんじですか?」
「うわ、もう。そんなにのばしちゃクレープだよ、伊勢」
 うっちゃまんが主導権をにぎってるなんて前代未聞。
 あはははは。
「内山、も、おまえ全部やれ! オレできたの食うから」
 とうとう石川はふくれちゃって。
「そうそう赤根(あかね)、うまいじゃない。石川のも焼けたらひっくり返してやって」
「やだよ、啓介のどろどろなんて」
「差別すんなっ。オレのだって食い物だぞ」
 いやぁ……。
 知らなかったなぁ本当に。
 男子って、食べ物に、こんなに夢中になれるんだな。
「すっごい。みんな真剣だね」
 小声でささやくと、大海ちゃんがぼそっとつぶやいた。
「わたし、もーおなかいっぱい」
 あはははは。
「ちょっと、相田。笑ってないで、そのブタタマひっくり返さなきゃ」
「はいはい、うっちゃまんセンセ」