片思いー終わる日はじめる日ー

「はい、石川」
「……おまえ、(ばく)に送るの?」
「…………」
 そういう話ならパスだよ、石川。
「なあ……」
 しっこい! と思うのに、石川の真剣な瞳を見ちゃうと、それは言えなくて。
「まさか」
 肩をすくめてみせる。
「あたしの絵なんて、笑われるのがオチだもん」
「笑わねえよ。男なら……好きなやつにもらったものを」
「…………」
「…………」
 だから!
 黙っちゃいやだってば、石川。
有実(ゆみ)……」
「――――なによ」
 牛乳パックにうつむくしかないあたしを呼ぶな。
「おまえ、啓介って呼んでみな、オレのこと」
「えっ……」
「いいから」
「……けーすけ」
「ひらがなの、けーすけ、だろ」
「えっ? …えっ? わけわかんない、そうだった?」
「姉貴といっしょだ。…そうだと思ったんだ」
「ケースケ。けえすけ。啓介?」
 頭で文字を想像して言ってみるけど。
 なにがちがうんだ、なにが。
「ま、そういうことだ」
「なにが?」
「追求すんなよ。…じゃな。部活、がんばれや」
「ちょっと、石川」
「けーすけ!」
 そう叫び返してくる石川は、もう靴箱からローファーをつかみだしていて。
 その笑顔にほっとしてジャンプ、ジャンプ。
「こら! けーすけ。フルーツ牛乳ベンショーしろぉぉぉ!」
「あばよ、相田(あいだ)ゆみぃぃぃぃ!」
 1Dやかましコンビ、健在。