片思いー終わる日はじめる日ー

「あ――っっ! なにすんのよ、石川!」
「親切、親切」
「なぁーんだってぇ」
「そう怒るなよ。……住所、教えろ」
「えっ?」
「クリスマスカード、送るわ。せっかく作ったし」
「あ、たし…に?」
「だから住所聞いてんだろ」
 まぁ、そぉ…だ。
「ケータイのプロフには住所まで入れてねえだろ。――書け」
 自販機の横の窓に押しつけて広げられた小さなアドレス帳。
「すごいね。友だち、いっぱいだ」
「小学生のころから使ってるからな」
 たしかに。
 鉛筆書きのひともいる。
 きっと小さい頃の友だちなんだろうけど、すごいって言ったのはその字。
 小さい頃から頭が良かったんだなぁって、見るだけでわかる。
 薄れた鉛筆書きのひとまで、きちんと住所氏名が漢字で書いてある。
「ぇと、あたしの字じゃ、まずくない?」
「なんで。いいよ。――書け」
 え、えと、そう?
 …ありゃ、(ばく)の住所が書いてある。
 ふ、うーん。
 差しだされたボールペンを握ると、石川が離れて腕を組んだ。
「しかし…おまえも、あきらめねぇなぁ」
「ん?」
「たった8人のバレー部でさ。新人戦も出られないんだろ? 試合もないのに冬休みまで練習して――。どうしようっての?」
 ああ、ねぇ。
「次に来るかもしれないすっごい新人のために、毎年がんばるのは運動部のジョーシキじゃん。…でも、クマが大変だよね。全然休みなくてさ。35歳にもなって独身てのは、あたしたちのせいかもって。最近心配してんの、みんなで」
「ははは」
 なんだよぉ、そのうつろな笑いは。
 …っと、これでよし。