そんな気持ちをかかえて麦は、友だちもお母さんのお墓も北海道において、中井のところに来たんだろうか。
自分は弟だって言えないのに、半分だけ血の繋がっている、会ったこともない、たったひとりのお姉さんのところに来たんだろうか。
弟だってわかったら、お父さんを奪った子だって。
もしかして、憎まれてしまうかもしれないのに。
それでもお姉さんてどんなひとか知りたくて、来たんだろうか。
そう思ったら、なんだかものすごくさびしくなっちゃって。
ぽろんとこぼれた涙を、麦に見られた。
「やだっ。……勉強しよっ! さ、大海ちゃん、タイムイズマネーだ。ねっ! ……ほらほら、みんな、いつまでも遊んでないで。始めるよ」
同情じゃないんだよ。
あたしは泣いたりしてないよ。
ただ。
あなたを好きな気持ちが。
こぼれた…だけ。
「…………」
麦は黙ってあたしを見てる。
目線があうのがこわいから、目をつむって思いっきりアッカンベー。



