「あっ、相田ちゃん、ごめん。わたし日直なんだった。先に行くね」
「うん。がんばって」
坂道を前かがみで駆けのぼっていく山田ちゃんが、手を振って麦の横を通り過ぎる。
ちょっと手を上げてこたえた麦は――。
「あれ」
立ち止まった?
ポケットに片手を突っこんで、校門に寄りかかる。
「いや…だ」
追いついちゃうじゃん。
早く行けぇ。
「…カメ」
追いついてしまった。
「わ…るかったなぁ」
「期末……、またみてやろうか」
並んで歩きだす。
「えっ、ほんと? みんなも誘っていい?」
またってことは、またふたりで、ってことだったりし…ないよね。
「だめ。ふたりで」
「……っ……」
なんにもないところで、つまづいてコケた。
「大丈夫か?」
「……じょぶ」
大丈夫です!
声は聞こえないけど笑ってるね。
だって、身体中ふるえてるもんね。
んっもう。
「みんなで、ねぇ……。まぁ、また逃げだされるよりマシかな。OK」
「――――えっ」
ううっ。
まだ笑ってる。
いつの間にあたしのひよこは、こんなにイジワルになったんだ。
もっとも。
これが本性って気も。しないでも。ない。けど。



