本当のあたしはねぇ、麦。
ばかで、チビなのはそのままだけど。
だれとでも友だちになれて、元気で、単純じゃないんだよ。
自分が人見知りだから、人見知りの子をかまってあげたいの。
自分が弱虫だから、弱い子をかばってあげたいの。
てんで根性がないから、がんばるひとが好きなんだ。
自分でも自分がどうしたいのか。
フクザツすぎて、さっぱりわからない。
も、どうしようもないんだよ。
* * *
「おはよ、相田ちゃん」
ポプラ並木を学校のほうに曲がったところで、うしろから肩をたたかれた。
「あ、おはよ、山ちゃん。やっぱそろそろ寒いねぇ」
「そろそろって……。とっくよ! んもう」
出席番号1の相田の(あ)から、山田の(や)まで。
だれも知っている子がいなかった4月から、なんだか、すっごく短かったけど、やっぱり時間が流れたんだなぁ…って。
ちょっと、しみじみ。
「おはよう、ふたりとも」
このおちついた声は……。
「あら、赤根くん、おはよう」
「おは…」
言い終わらないうちに、もう背中。
「うわ、もう行っちゃった。男子は歩くの早いねぇ」
山田ちゃんは感心してるけど、あれは楽しんでいる歩きかた。
ひとの間をすいすい、すいすい。
障害物をよけるように前に出る。
走り高跳びが得意だったり、平然と10キロを走ったり。
もしかして陸上部だったりしたのかなぁ?
いつか、そんなことも聞けるかな?



