「やだ。赤根くん、かわいそう……」
うわうわ。大海ちゃんが泣く。
なんとかしなさい、麦。
「かわいそう? ……そんなことないよ、大海。おれは平気だよ」
うんうん。
「おまえたちも、いるし、さ」
「……っ……」
…やだ。
あたしが照れてどうする。
「おいおい、麦。だからって手当たり次第に女をくどくのはやめろよな。…ふられたやつは、しばらく静かにしとけ」
「ははは。…だってさ」
「そうよ、赤根くん。元気だして。有実がいるわよ」
ぐふっ。
「なっ…!?」にを言い出す、大海ちゃん!
「わたしもいるし。石川くんもいるわ。伊勢くんも、内山くんも、ね」
なんだ、そういうことね。この子はもう!
麦は神妙な顔でうなずいている。
でも、あたしは見た。
「おい、麦。おまえ、拳に異様に力が入ってんな」
石川も気がついて。
次の瞬間あたしたちは、道行くひとたちの冷たい視線を思いきり浴びることになっていた。
「あはははははははは」
麦はもうこらえきれない様子で、ずーっと、ずーっと、笑っていた。
ポプラによりかかって、苦しそうに。楽しそうに。



