なんだか今までの感情とは違う。


あたしはヤマジ君が男の人を好きなんじゃないかって、いつも面白がって妄想していた。


それはあたしが読む漫画や小説の主人公と重ねていたから。



だけど、ヤマジ君は現実にいる男の子なんだ。

そんな当たり前のことに今やっと気づいた。

そして、そんな彼のことをずっと見ていたあたしの気持ちも……妄想なんかじゃないんだ。

もっとずっとリアルな感情。



あたしは拳を作ってぎゅっと握りこむと、走り出した。


これはまたあたしの勝手なエゴかもしれない。


だけど、どうしても大釜先生とそんなことして欲しくなかった。


今いかなきゃ、きっと後悔する……そう思って廊下を駆け抜けた。