その途端、姫子の顔は真っ赤になる。

それは恥ずかしさからくるものなのか、怒りからくるものなのか、わたしにはわからなかったけど、わなわなと震えているように見えるのは気のせいではないだろう。



「信じられへん! サイッテー! もう二度とライブとか行かへんし! 後悔しても知らんから!」


姫子はそういうと、あたし達からプイッと背を向けて保健室を出て行った。


ドアがピシャンと閉じられると同時に鳴り響く、6限目の終わりを告げるチャイムの音。


その音になぜか安堵を覚えたあたしは、その場で崩れるようにふにゃふにゃとヤマジ君のベッドの端につっぷした。


「後悔なんかしないっつーの」


あたしの頭上でクスクス笑うヤマジ君の声が響いた。


「ありがと。助けてくれて」


その声に驚いて顔をあげると、柔らかな笑顔のヤマジ君がいた。


良かった……。

いつもの天使みたいなヤマジ君に戻っている。


ホッとしたあたしの視界はじわりと滲んだ。