あたしは持っていたカーテンをギュっと握った。




「ん……」


さすがにヤマジ君も目を覚ましたのか声を出した。


その声に一瞬ひるんだ姫子は上体を起こしたものの、ヤマジ君の上から動こうとはしない。


やがてヤマジ君はゆっくりと瞼を開いた。



「……何?」


だけどこの状況に焦ることもなく、いつものようなのんびりした調子で、自分の上に乗っている彼女に問いかけている。



一方、全く悪びれる様子もない姫子は、小首を傾げてにっこり微笑む。



「キスしちゃった」



――小悪魔だ。

小悪魔降臨。



そして今度は唇をヤマジ君の耳元に持っていって囁いた。



「ね、エッチなことしちゃおか?」