「あのさ……リボンタイと、ブラウスのボタンも……一つだけ外させてもらったんだ」


「ええっ」


慌てて自分の胸元を見ると、確かにブラウスの第一ボタンが外されていた。


ひぃいいいいい。

あたしは慌ててブラウスの襟元を手繰り寄せる。


ちょっと待ってよ……。

あたしの妄想アンテナはビンビンに働く。


今あたしの頭の中には、ヤマジ君があたしをこのベッドに寝かせて、リボンタイとブラウスのボタンに手をかける図が浮かんでいた。

うわーん、残念。

ぜひその図を自分の目で見たかったなぁ。



……なんてね。


あ、ダメだ……。

そんなこと想像してたら、また鼻血出ちゃう。

あたしは慌てて頭の中の妄想を掻き消す。



「っつても、それをやったのは、サトシなんだけど」


「え? 工藤君が?」


「うん、あいつ、こういう時の対処慣れてんのかな。妙に冷静だった」


ベッドに横たわる女のブラウスのボタンを外す工藤聡史……。

その姿はまた別な意味で絵になる気がした。