ああ、それにしても。

ヤマジ君とこうして登校できるなんて……

あたしは幸せ者ね。


といってもほんの数分のことだったけどね。

残念、もう着いちゃう。

もっと学校が遠かったら良かったのに。

あたしは近づいてくる校門を恨めしげに睨んだ。


あたしがブツブツ呟いて(あくまで心の中でよ!)いたら、頭上から声が降ってきた。


「データ入力、マジでありがとう……えと……」


ヤマジ君はじっとあたしの顔を見つめる。

何か言いたげなのに、なぜかなかなか次の言葉が出てこない。

何なの?

そんな目で見つめられると、あたし……あたし……。

ああ……心臓がバクバクと煩く騒ぎ出す。