慌てるサトシを無視して、ポケットから携帯を取り出す。



「やっぱり……電源切ってるし」


こんなことだろうと思った。


僕はふーと大きなため息を吐いた。


「で? 今回はどんな揉め事?」


サトシがこんな風にプチ家出をする時の理由はだいたい決まっている。


女がらみの揉め事だ。


サトシは女と揉めると、とりあえず逃げてかわす。

以前、連絡が取れなくなって逆上した女が家まで押しかけてきた経験があるらしく、家にも帰りたがらないのだ。


「えと……二股が……バレました。あっ……いや三股かな?」


たいして反省してる風でもなく、飄々と答えるサトシ。


いつか絶対女に刺されるぞ。

僕は彼の顔を眺めながらそんなことを考えていた。



「っつわけで! とりあえずゲームやろ?」


自分の置かれている立場を全く理解していないらしい。

サトシはポンポンと僕の肩を叩いてきた。


もう……知らねーからな。


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