「マジかぁ……。なぁ、あんた、保健委員? 生理痛の薬もらえるかな? さっき急になってん」


井川加奈子はいかにも辛そうに眉間に皺を寄せてお腹を押さえるしぐさをする。


「それなら……」とあたしは立ち上がって、棚の中にある薬箱を探る。


「助かるわ~。あたし生理、めっちゃ重いねん」


あたしは井川加奈子に薬を差し出すと、薬使用の報告書に彼女の名前とクラスを記入した。


「サンキュー。もう、ほんと痛いよなぁ……。月に一度とはいえ、ほんまに嫌になるわぁ……」


井川加奈子はどうやらとてもマイペースな性格のようだ。

その後も、延々と自分の生理痛の大変さをあたしに語っていた。



……なんでこんな時に、他人の生理痛について聞かにゃならんのだ。


おかげで「ヘルスアップ計画」のデータ入力は井川加奈子が帰るまで、いっこうに進まなかった。