ヤマジ君はあたしの差し出したカードを受け取った。



「あ、それっ」


井川加奈子は慌ててそのカードを奪おうとする。

だけどもうとっくに彼の目にはその文字が見えてしまっていた。



その短くて……だけど彼女のありったけの想いが込められたメッセージを。






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  ヤマジへ 


   好き


  カナコ
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