「へぇ、そうなのかい」

 アヴェイラは興味深そうに頷いた。……ラグは知っていたけれど、アヴェイラは知らなかったみたいだ。

(同じ術士でも、やっぱりストレッタっていう場所にいた分ラグは術に関する知識が豊富なのかな?)

 そして同時に、ラグも昔は術がうまく使えなくて私と同じように動けなくなったと話していたことを思い出した。

「でも、術士も最初は自分の力を消耗するみたいだし……」
「じゃあ、あたしも自分の力をうまく使えれば、ひょっとしたらセイレーンになれるかもだね」
「う、うーん。そうなのかも?」

 答えながら、ふと考える。

(なら、ラグもセイレーンになれる可能性はあるってこと……?)

「あ、術士と言や、そっちの船に乗っていたあの術士は一体何者なんだい」
「えっ」

 どきりとする。