イディルで積み込んだパン、塩漬け肉、チーズ、野菜と豆、その日釣れた魚を使ってリディは毎日のように違う献立を考え、それまで交代で料理をしていたらしい船員たちは皆毎回大袈裟なくらい喜んで完食してくれる。

 ちなみにラグは船員たちと同じ部屋で寝ていて、“働かざる者食うべからず”という船の掟に従い渋々船内の様々な仕事を手伝っているようだった。
 彼と顔を合わせるのは食事時くらいだったが、船員たちと揉めたというような話も聞かないし、うまくやっているみたいだ。

「リディって本当に凄いね。このままこの船専属のコックさんになったりして」
「ありえない話ではないな。お蔭で私も料理の腕が随分と上がった気がする」
「あはは、私も!」

 物置部屋に急遽鍵を取り付けた女性専用の寝室を出て、セリーンと一緒にギャレーへと向かっていると、若い船員さんが2人並んでやってくるのが見えた。