My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】


 幸い、イディルを出てここまで酷く海が荒れることなく、私たちの乗る元海賊船は順調な航海を続けていた。
 と言っても私はやっぱり最初の何日かは船酔いで満足に動くことが出来ず、3日目くらいで漸く船内を移動出来るようになった。

 リディは船酔いは殆ど平気なようで、初日からギャレーでその腕を存分に振るっていた。
 ギャレーとは、船の中のキッチンのこと。
 私たち女性陣は船に乗ってからそのギャレーでほとんどの時間を過ごしていた。特に料理好きなリディはこのままここで寝たいと言い出すくらい気に入ったようだった。私とセリーンの船内での仕事はそんな彼女のお手伝いだ。

 食事は一日2回だが、海賊たち……もとい船員たちは総勢20名ほど。何しろ作る量が多いのでやることはたくさんあった。